著作権について

【著作権について】創作者も利用者も必見!トラブルを避けるための知識と対策

インターネットが普及し、誰もが気軽に情報を発信できる現代において、「著作権」は非常に重要なキーワードとなりました。自分が作ったものが簡単に共有される一方で、他者のコンテンツを安易に利用してしまい、思わぬトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

この記事では、著作権の基本から、複雑に思える権利の内容、さらには実際の裁判例や、ブログなどでGoogleに記事を投稿する際に特に注意すべき点まで、約5000字のボリュームで徹底的に解説します。創作者の方も、インターネット上の情報を利用する機会が多い方も、ぜひこの記事を読んで著作権に関する正しい知識を身につけ、安心して創作・情報発信活動を行えるようになりましょう。

1. はじめに:なぜ著作権は大切なのか?

著作権とは、文芸、学術、美術、音楽などの分野で、思想または感情を創作的に表現した「著作物」と、それを作り出した「著作者」を保護するための権利です。

この権利が存在する主な目的は二つあります。一つは、著作者が時間や労力をかけて生み出した創造的な成果物を法的に保護し、その努力に報いること。もう一つは、著作者の権利を保護することで、新たな創作活動を促進し、文化全体の発展に寄与することです。

著作権について正しく理解することは、自分が丹精込めて作った作品を無断で利用されないための防御策であると同時に、他者の創造性を尊重し、著作権侵害という法的なトラブルを避けるための重要なマナーでもあります。特に、ブログやSNS、動画サイトなどで積極的に情報発信する機会が多い方にとっては、避けては通れない知識と言えるでしょう。

2. 著作権とは?基本を理解する

著作物とは?

著作権法における「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています(著作権法第2条第1項第1号)。

簡単に言えば、人間の考えや気持ちが、何らかの形で(文章、絵、音楽、写真、プログラムなど)工夫を凝らして表現されたもののうち、文化的な分野に属するものです。単なる事実やデータ、アイデアそのものは著作物には該当しません。表現されたものだけが保護の対象となります。

著作権が発生する条件(無方式主義)

日本の著作権制度の大きな特徴として、「無方式主義」が採用されています。これは、著作物を作り出した時点で自動的に著作権が発生し、文化庁への登録や著作権表示(©マークなど)といった特別な手続きは一切必要ない、という考え方です。

つまり、あなたがブログ記事を書いたり、写真を撮ったり、絵を描いたりしたその瞬間に、その作品の著作権はあなたに発生しているのです。

著作権の種類:財産権と人格権

著作権は、大きく分けて二種類の権利から成り立っています。

  • 著作権(財産権): 著作物の利用に関する権利で、他人に譲渡したり相続させたりすることができます。経済的な利益に関わる権利と言えます。
  • 著作者人格権: 著作者自身の「人格」に関わる権利で、著作者だけが持ち、他人に譲渡することはできません。

これらの権利は後ほど詳しく解説します。

保護期間

著作権(財産権)には保護期間が定められています。原則として、著作者の死後70年を経過するまでの間、保護されます(著作権法第51条第2項)。これは、著作者だけでなく、その遺族なども著作物から生じる利益を享受できるようにするためです。

無名または変名の著作物や団体名義の著作物については、公表後70年または創作後70年といった別の規定があります。保護期間が終了した著作物は「パブリックドメイン」となり、原則として誰でも自由に利用できるようになります。

3. 著作権(財産権)について詳しく

著作権(財産権)は、著作物をさまざまな方法で利用することを許諾したり、差し止めたりできる権利の束です。主な支分権(個別の権利)をいくつか見てみましょう。

  • 複製権(第21条): 著作物を印刷、写真、コピー、録音、録画などの方法により「複製」する権利です。デジタルデータとしてコピーすることも複製に含まれます。
  • 上演権及び演奏権(第22条): 著作物を公衆に直接見せたり聞かせたりする目的で、「上演」したり「演奏」したりする権利です。演劇の上演や音楽の演奏などが該当します。
  • 公衆送信権等(第23条): 著作物をインターネットなどを通じて「公衆送信」(自動公衆送信の場合には送信可能化を含む)する権利です。ウェブサイトでの公開、メール送信、ストリーミング配信などが該当します。
  • 展示権(第25条): 美術の著作物や未発行の写真の著作物を公衆に「展示」する権利です。美術館での展示などが該当します。
  • 頒布権(第26条): 映画の著作物について、複製物を公衆に「頒布」する権利です。DVDの配布などが該当します。
  • 譲渡権(第26条の2): 著作物のオリジナルまたは複製物を公衆に「譲渡」する権利です。書籍やCDの販売などが該当しますが、最初の適法な譲渡があった後は、その複製物については譲渡権は消滅します(権利消尽)。
  • 貸与権(第26条の3): 著作物の複製物を公衆に「貸与」する権利です。レンタルビデオやレンタルのCDなどが該当します。
  • 翻訳権、翻案権等(第27条): 著作物を「翻訳」したり、「翻案」(創作性をもって改変すること)したり、「二次的著作物」(元の著作物に依拠し、かつ、その創作性によって新たに生み出された著作物)を利用したりする権利です。

これらの権利は著作権者が専有しており、原則として著作権者の許諾なくこれらの行為を行うことは著作権侵害となります。

4. 著作者人格権について詳しく

著作者人格権は、著作者の人格的な利益を保護するための権利であり、著作者一身に専属し、譲渡することはできません。著作者が死亡すると消滅するのが原則ですが、その死後においても、遺族などは著作者が生存していたならば著作者人格権を侵害することとなるべき行為の停止を請求することができます(著作権法第60条)。

主な著作者人格権は以下の三つです。

  • 公表権(第18条): まだ公表されていない著作物を、いつ、どのように公表するか(または公表しないままにするか)を決定する権利です。
  • 氏名表示権(第19条): 著作物を公表する際に、著作者名を表示するかしないか、表示する場合は実名にするか変名にするかを決定する権利です。
  • 同一性保持権(第20条): 著作物の内容や題号を、著作者の意に反して勝手に変更・切除その他の改変をされない権利です。例えば、文章の一部を削除されたり、絵に描き加えられたり、音楽のテンポを変えられたりすることは、原則としてこの権利の侵害にあたります。ただし、学校教育目的など、一定の例外規定はあります。

これらの著作者人格権は、著作者の意思を尊重し、作品に対する著作者の思いを守るための重要な権利です。

5. 著作権侵害とは?

著作権侵害とは、著作権者の許諾を得ずに、著作権(財産権)または著作者人格権を侵害する行為を行うことを指します。

  • 直接侵害: 著作権者の許諾なく、複製、公衆送信、上演、演奏などの著作権(財産権)の支分権を侵害する行為。
  • 間接侵害: 侵害行為そのものではないが、侵害行為を誘発・助長するような行為で、著作権侵害とみなされるもの(例:違法にアップロードされたと知りながらダウンロード可能な状態に置く行為など)。

著作権侵害は、民事上の責任と刑事上の責任を問われる可能性があります。

侵害に対する民事上の請求

著作権者は、侵害行為に対して以下のような民事上の請求を行うことができます。

  • 差止請求(第112条): 現在行われている侵害行為や、将来行われるおそれのある侵害行為を差し止めるよう求めることができます。
  • 損害賠償請求(民法第709条): 侵害によって被った損害の賠償を請求することができます。著作権侵害における損害額の算定については、著作権法に特則が設けられています(第114条)。
  • 不当利得返還請求(民法第703条、第704条): 侵害者が得た利益を返還するよう求めることができます。
  • 名誉回復等の措置請求(第115条): 著作者人格権を侵害された場合などに、名誉回復のために新聞への謝罪広告の掲載などを求めることができます。

侵害に対する刑事罰

著作権侵害は、刑事罰の対象にもなり得ます。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、原則として10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(第119条)。著作者人格権や実演家人格権の侵害も、同様の罰則が定められています。これらの罪は原則として親告罪ですが、営利目的の場合など一部非親告罪となるケースもあります。

6. 著作権が制限される場合(例外規定)

著作権は強力な権利ですが、社会全体の利益や情報流通の円滑化のために、著作権者の許諾なしに著作物を利用できる例外規定が著作権法に定められています。これを「著作権の制限」と言います。主な例外規定を見てみましょう。

  • 私的使用のための複製(第30条): 個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用するために、著作物を複製することができます。ただし、デジタル方式の録音・録画については、一定の補償金制度(私的録音録画補償金制度)があります。また、著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行う複製(いわゆる「違法ダウンロード」)は、原則として私的使用目的であっても著作権侵害となります。
  • 引用(第32条): 公正な慣行に合致する方法で、かつ、報道、批評、研究その他の目的上正当な範囲内であれば、公表された著作物を引用して利用することができます。引用と認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
    • 公正な慣行に合致すること: 引用部分と自分の著作部分が明確に区別されていること(カギ括弧やインデントなど)、引用されていることが明確であること。
    • 引用の目的上正当な範囲内であること: 引用する必然性があり、引用部分が自分の著作物の従たるものであること(主従関係が明確であること)。つまり、自分のオリジナルの記述がメインであり、それを補強するために他者の著作物を利用する、という関係が必要です。
    • 出所を明記すること: 引用した著作物の出所(著作物の題名、著作者名など)を、慣行に従って明記する必要があります。
  • 学校教育番組等における利用(第35条): 学校教育の目的上必要と認められる範囲内で、授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、著作物を複製することができます(一定の要件あり)。
  • 営利を目的としない上演等(第38条): 公衆に直接見せることまたは聞かせることを目的とせず、かつ、報酬を受けない場合には、公表された著作物を営利を目的としない上演、演奏、上映などを行うことができます。
  • 時事問題に関する論説の転載等(第39条): 新聞や雑誌に掲載された時事問題に関する論説や社説は、他の新聞や雑誌に転載等することができます。
  • 公開された著作物を利用した情報解析(第47条の7): インターネット上の情報などを収集・分析する「情報解析」(いわゆるビッグデータ解析やAI学習など)のために、著作物を複製等することができます。ただし、思想または感情を享受させることが目的でない場合に限られます。

その他にも、図書館における複製(第31条)、試験問題としての複製等(第36条)、視覚障害者等による著作物の利用(第37条)など、様々な例外規定があります。これらの例外規定に該当しない著作物の利用は、原則として著作権侵害となりますので注意が必要です。

7. 重要な裁判例から学ぶ著作権

著作権に関する解釈や適用は、時代の変化とともに裁判を通じて議論され、判断が積み重ねられてきました。いくつかの重要な裁判例を見てみましょう。

プログラムの著作物性に関する裁判例(プログラム著作権侵害事件)

古くからプログラムの著作物性が争われてきましたが、裁判所はプログラムも著作権法で保護される「著作物」であるとの判断を示しています。例えば、ゲームソフトのソースコードやオブジェクトコードの複製が著作権侵害にあたるかどうかが争われた裁判では、プログラムも著作権法上の著作物として保護されることが確認されました。これは、今日のデジタルコンテンツの保護において非常に重要な判断枠組みとなっています。

引用の要件に関する裁判例(美術のひろば事件)

雑誌記事の中で、美術作品の図版を多数掲載した行為が引用に当たるかが争われた事件です。裁判所は、引用の要件である「公正な慣行に合致する方法」や「引用の目的上正当な範囲内」について厳格な判断を示しました。この判例は、自分の著作物の「従たる」関係にあること、つまり自分のオリジナルの記述がメインであり、それを補足するために引用を用いるという「主従関係」の重要性を改めて示したもので、インターネット上で他者の画像などを引用する際の参考になります。単に美的な目的で画像を掲載したり、自分の記述がほとんどなく引用ばかりで構成されているような場合は、引用とは認められにくいことを示唆しています。

インターネットと著作権侵害に関する裁判例(ファイル共有ソフト事件、まとめサイト著作権侵害事件など)

インターネットの普及に伴い、ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害や、他者のコンテンツを無断で集めて作成された「まとめサイト」に関する著作権侵害事件が増加しました。これらの裁判では、インターネット上での情報のやり取りが著作権法にどのように適用されるか、また、侵害を助長する行為が間接侵害にあたるかなどが争点となりました。これらの判例は、インターネット上でも現実世界と同様に著作権が保護されること、そして、単にコンテンツをアップロードする行為だけでなく、それを可能にするシステム提供者や、違法なコンテンツを集約する行為も著作権侵害に関わる可能性があることを示しています。

パロディ、二次創作と著作権に関する裁判例(まんだらけZENBU事件など)

既存の著作物を改変したパロディ作品や二次創作が著作権侵害にあたるかどうかも、たびたび裁判で争われています。例えば、著名な漫画のキャラクターを無断で改変して利用した同人誌の販売が著作権侵害にあたるかが争われた「まんだらけZENBU事件」では、元の著作物の同一性を損なう改変は同一性保持権の侵害にあたり得ると判断されました。パロディや二次創作は表現の自由との兼ね合いもあり、著作権法上難しい問題を含みますが、原則として元の著作物の著作権者の許諾が必要であるという点は理解しておく必要があります。

これらの裁判例は、著作権法の条文だけでは分かりにくい部分を具体的に示しており、著作権に関する理解を深める上で非常に参考になります。特にインターネット上での活動においては、これらの判例が示す方向性を踏まえて、著作権侵害にならないよう注意することが重要です。

8. Googleに記事を投稿する際の著作権に関する注意点

ブログやウェブサイトを作成し、Google検索を通じて多くの人に見てもらうことを目指す場合、著作権に関する配慮は必須です。著作権侵害は法的な問題に発展する可能性があるだけでなく、Googleのポリシーにも違反し、検索順位に悪影響を与える可能性もあります。

Googleに記事を投稿する際に特に注意すべき点を以下にまとめます。

  • 他者の文章、画像、音楽、動画の無断利用は厳禁
    • インターネット上に公開されているからといって、全てのコンテンツが自由に利用できるわけではありません。ブログ記事の文章、ウェブサイトから見つけた画像、YouTubeで見つけた動画、音楽ファイルなど、他者が作成した著作物を無断でコピー&ペーストしたり、自分の記事に埋め込んだり、ダウンロードして再配布したりする行為は、著作権侵害にあたる可能性が非常に高いです。
    • 文章: 他者のブログ記事、ニュース記事、書籍などの文章を許可なく複製して自分の記事に掲載することは、複製権の侵害にあたります。
    • 画像: 他者のウェブサイトやSNSから画像を保存して自分のブログにアップロードすることは、複製権や公衆送信権の侵害にあたります。
    • 音楽・動画: 著作権者に無断で音楽ファイルや動画ファイルをアップロードしたり、ストリーミングしたり、自分のサイトに埋め込んだりすることは、複製権や公衆送信権、上演権・演奏権などの侵害にあたります。YouTubeなどの埋め込み機能を利用する場合も、元の動画が著作権侵害によってアップロードされたものである場合は注意が必要です。
  • 「引用」を正しく行う
    • 他者の著作物を自分の記事の中で利用したい場合は、「引用」のルールを守りましょう。前述の通り、公正な慣行に従い、目的上正当な範囲内で、出所を明記することが必要です。単に文字数を稼ぐためや、自分のオリジナリティがない記事を埋めるために引用を多用することは認められません。引用部分と自分のオリジナル部分の主従関係を明確にすることが重要です。
  • フリー素材やライセンス付き素材の利用
    • 著作権フリーを謳っている素材サイトや、クリエイティブ・コモンズなどのライセンスに基づいて公開されている素材を利用する場合は、それぞれの利用規約やライセンス条件をよく確認しましょう。商用利用が可能か、改変が可能か、クレジット表記が必要かなど、条件は様々です。条件を守らずに利用すると、著作権侵害となる可能性があります。
  • 自分で撮影・作成したコンテンツを最大限に活用する
    • 最も安全で推奨される方法は、文章、写真、イラスト、音楽、動画など、全て自分でオリジナルのコンテンツを作成することです。これにより、他者の著作権を侵害するリスクをゼロにできます。また、オリジナリティの高いコンテンツは、読者にとっても価値が高く、Googleからの評価も高まりやすい傾向があります。
  • Google検索セントラルと著作権侵害
    • Googleは、著作権を尊重することをポリシーとして掲げています。著作権侵害が疑われるコンテンツについて、著作権者からの削除申請があった場合、Googleは検索結果からの表示を削除するなどの対応を行います。また、コピーコンテンツや盗用されたコンテンツを多く含むウェブサイトは、Googleの検索アルゴリズムによって評価を下げられ、検索順位が大きく低下する可能性があります。これは、ユーザーに質の低い情報や違法な情報を提供しないようにするための措置です。
    • ブログなどで収益化を目指している場合、著作権侵害によるGoogleからのペナルティは致命的となりかねません。

要するに、Googleに記事を投稿する際は、「自分が作ったもの」または「正当な権限(著作権者の許諾や、例外規定、適切なライセンスなど)を得て利用するもの」だけを使用するという意識を常に持つことが重要です。

9. まとめ

著作権は、創作者の努力を保護し、文化の発展を促すための重要な権利です。インターネットが身近になった現代において、著作権は単なる法律知識ではなく、誰もが身につけるべき重要なリテラシーとなっています。

著作物の定義、著作権が発生する仕組み、そして著作権者が持つ財産権と著作者人格権の内容を理解することは、自分が作ったものを守り、また他者の創造性を尊重する上で不可欠です。さらに、著作権が制限される例外規定、特に「引用」のルールを正しく理解し適用することは、合法的に他者の情報を活用するために重要です。

過去の裁判例は、著作権法が実際の社会でどのように解釈・適用されてきたかを示しており、具体的な判断の参考になります。そして、Googleに記事を投稿するなど、インターネット上で情報発信を行う際には、著作権侵害が法的なリスクだけでなく、プラットフォームからの信頼失墜や検索順位への悪影響にも繋がることを認識し、他者のコンテンツの取り扱いには最大限の注意を払う必要があります。

正しく著作権を理解し、創作活動や情報収集・発信を行うことは、自分自身を守り、健全なインターネット空間を築くことにつながります。この記事が、あなたの著作権に関する知識を深め、安心してデジタルライフを送るための一助となれば幸いです。著作権について不明な点がある場合は、専門家(弁護士など)に相談することをおすすめします。

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